本郷、言問通りから別れる暗闇坂を入っていくと、東京大学弥生門のほぼ斜向かいに見えてくるのが「弥生美術館 竹久夢二美術館」。
1984年に、弁護士鹿野琢見(大正8.4.15~平成21.10.23 弁護士)によって創設された、私設の美術館です。
鹿野琢見は9歳の時、当時一世を風靡していた挿絵画家高畠華宵(明治21.4.6~昭和41.7.31 画家)の絵を見て大いに感動。長じて後、戦中戦後華々しい活躍ができなくなり、すっかり生活に困窮していた華宵に手紙を送ったのをきっかけに、半ば鹿野が華宵を支援するような形で、2人の交流がはじまります。華宵亡きあとは、鹿野が華宵作品の著作権を得ることになり、この「弥生美術館」が開設されました。
鹿野(右)と華宵(左)。
3階建ての小さな美術館。
1・2階の展示室では、大正から昭和にかけて活躍した挿絵画家の作品をはじめ、挿絵、雑誌・漫画・付録など、当時の出版美術に関する企画展が数々開催されています。
3階の展示室は、高畠華宵の常設展示室です。
「竹久夢二美術館」の方は、平成2年に「弥生美術館」の隣地に開設され、鹿野の竹久夢二(明治17.9.16~昭和9.9.1 画家・詩人)コレクションが展示されています。
夢二も華宵と並び、大正ロマンを代表する画家。
夢二美術館のあるここ本郷は、かつて夢二の逗留した「菊富士ホテル」のあった場所であり、夢二最愛の恋人笠井彦乃(明治29.3.29~大正9.1.16)と逢瀬を重ねた場所でもありました。暗闇坂にあるひっそりとした佇まいの美術館は、今も往時の風情を偲ばせます。
「弥生美術館」と「夢二美術館」は1・2階の渡り廊下で繋がっていて、入館料1000円で、両館見学できるようになっています。
只今の展示は「弥生美術館」が、『大正の夢 秘密の銘仙ものがたり』と題して、大正から昭和初期にかけて、若い女性の間で大流行した「銘仙」のアンティーク着物の展覧会。
今見ても、ハッとするほどの斬新で鮮やかなデザイン。
最近の若い女性の着物が、華やかになったなあと思っていたら、そんなものは吹っ飛んでしまうほど。
日本の伝統的な価値観と、新しく入って来た西洋の文化が綯交ぜになった、これまでにない柄!柄!柄!
当時の女学生たちの、高揚する気持ちが伝わってくる、ポップなお着物たちです。
帯留めまでかわいい♡
「夢二美術館」は、『明治・大正・昭和 レコードの時代と夢二の時代』展。
夢二が表紙絵を飾った「セノオ楽譜」やレコード資料。
レコードが大衆に受け入れられ流行した、明治・大正・昭和の時代の風俗が窺える展覧会です。
セノオ新小唄「カチューシャの唄」や、
「ゴンドラの唄」。
夢二といえばの「宵待草」などなど。
甘美な大正ロマンの世界が、繰り広げられています。(掲載写真は写真撮影可の展示物です。)
展示を見た後は、隣接するカフェ「港や」で一休み。
かつて夢二が日本橋に開いていた小間物屋「港屋絵草紙店」にちなんだカフェです。
夢二のカット絵があしらわれたカプチーノ「夢のあと」や、
企画展にちなんだメニューが提供されています。
只今は、『明治・大正・昭和 レコードの時代と夢二の時代』展にちなんで、マロングラッセ入りのパウンドケーキの上にココアでレコードが描かれた「マロンろまんの夕べ」というケーキ。
カプチーノとともにいただきました♡
弥生美術館入口のミュージアムショップコーナーでは、「港屋絵草紙店」で売っていたような、ポチ袋や文具などの夢二グッズも販売されています。
『大正の夢 秘密の銘仙ものがたり』『明治・大正・昭和 レコードの時代と夢二の時代』展の会期は12月24日(日)まで。
弥生美術館 竹久夢二美術館
東京都文京区弥生2丁目4-3 2
☎0338120012 0356890462
https://www.yayoi-yumeji-museum.jp
開館時間 10:00~17:00
休館日 月曜日(祝日の時は開館し翌日休館)
入館料 一般1000円 大・高校生900円 中・小学生500円
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