文学のお散歩

東京近郊・近代文学を中心に作家・作品ゆかりの地をご紹介します。

神奈川近代文学館

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横浜、港の見える丘公園から伸びた霧笛橋を渡った先に、ひっそりと佇む円形の建物。

      

      

ここは「県立神奈川近代文学館」。

      

      

神奈川にゆかりのある近代文学の作家・作品の資料を蒐集・保存・展示している文学館です。

      

開港の地横浜や、古都鎌倉を擁する神奈川には、多くの文士が居住し、神奈川の地を舞台にした数々の文学作品が生まれました。

神奈川近代文学館の展示室では、常設展とさまざまな企画展で、神奈川ゆかりの文学を、魅力的に紹介しています。

 

常設展示室に入って、まず目に付くのは「漱石山房」という夏目漱石(慶応3.1.5(陰暦)~大正5.12.9 小説家)の書斎を復元したコーナーです。

紫檀の文机やペルシャ絨毯、蒔絵の火鉢、うず高く積まれた書物など、漱石山房の様子が、そのまま再現にされています。

    https://www.ndl.go.jp/portrait/img/portrait/0307_3.jpg(夏目漱石)

漱石山房は、東京の早稲田にありましたが、漱石は鎌倉の円覚寺に参禅し、後「門」(明治43.3.1~6.12 『朝日新聞』)や「こゝろ(大正3.4.20~8.11 『朝日新聞』)など、鎌倉を舞台とした小説を書きました。

 

続く第1展示室の常設展(1)は、「神奈川の風光と文学」と題して、横浜、川崎、県央・県西、三浦・湘南、鎌倉の5地域ごとにゆかりの作品が、作家自筆原稿や創作ノート、初版本などの資料とともに紹介されていきます。

この展示室で魅力的なのは、見ごたえのある資料類であるのはもちろんですが、それらを演出する背景のセットも素敵です。まるで影灯篭のようなグラフィックパネルで、作品世界が表現されていて、小田原を走るトロッコ(芥川龍之介の「トロッコ」大正11.3.1 『大観』)や、鎌倉円覚寺の門(夏目漱石の「門」)の情景などが、ちょっとノスタルジックで、可愛らしい夢のように浮かびあがっています。

                           (芥川龍之介)https://www.ndl.go.jp/portrait/img/portrait/0224_9.jpg

展示室中央には、山手・関内文学散歩のジオラマもあり、立体的に地域と文学の繋がりを見ることもできます。

 

第2・3展示室の常設展(2)では「文学の森へ 神奈川と作家たち」と題して、会期ごとに第1部「夏目漱石から萩原朔太郎まで」、第2部「芥川龍之介から中島敦まで」、第3部「太宰治三島由紀夫から現代まで」に分けて、時代ごとの神奈川ゆかりの文学を紹介していきます。

    https://www.ndl.go.jp/portrait/img/portrait/6082_3.jpg(萩原朔太郎)

また、特別展も様々に企画され、いろんな角度から神奈川ゆかりの文学を、魅力的に紹介しています。企画展にちなんだ、講演会、朗読会、講座、「かなぶんキッズクラブ」という子ども向けの読み聞かせ会、紙芝居、映画会なども豊富に開催されています。

 

神奈川近代文学館は、展示室がとても魅力的ですが、本館は実は下にある資料館です。

      

      

本館は、130万点以上の近代文学関係資料を蔵し、開架部分では文学全集はじめ、展覧会関連読書コーナーもあり、閲覧することができるようになっています。

また所蔵資料の、データベース化・画像化・web公開にも取り組んでいます。

霧笛橋からのぞむ横浜港。

          

横浜・山手散策のおり、一足伸ばして「かなぶん」で、神奈川ゆかりの文学の世界に浸ってみるのはいかがでしょうか。

                  

県立神奈川近代文学館
神奈川県横浜市中区山手町110

☎0456226666

http://www.kanabun.or.jp

開館時間 展示室 9:30~17:00

     閲覧室 9:30~18:30(土・日・祝日は17:00)

     会議室 9:30~21:00

休館日  月曜日(祝日の場合は開館) 年末年始

入館料  常設展 一般260円 20歳未満・学生160円 65歳以上110円 高校生100円

     中学生以下・障害がある方・友の会会員・支援する会員無料

     特別展 企画毎に変更

     本館  無料

 

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また肖像画像は、国立国会図書館電子展示会「近代日本人の肖像」https://www.ndl.go.jp/portrait/より転載しています。