文学のお散歩

東京近郊・近代文学を中心に作家・作品ゆかりの地をご紹介します。

喜久屋洋菓子舗

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横浜、元町商店街にある「喜久屋洋菓舗」。

大正13年創業の老舗洋菓子店です。

      

創業者は石橋豊吉。ヨーロッパ航路の貨客船で、パン職人、料理人を務めたのち、元町にこの店を開きました。

      

元町通りが、山手の外国人居留地と、山下町の外国人商館とを結ぶ通勤路として賑わいを見せていたころ。ヨーロッパのパンや菓子が、まだ日本では珍しかった時代に、石橋がヨーロッパ各地から持ち帰ったレシピで作る洋菓子やパンは、人気を博しました。

 

また、外国人居留地のスイスの婦人が持ち込んだケーキのレシピを石橋が再現すると、たちまち評判になり、それを機に各国のケーキのレシピが集まるようになり、当時どこの店よりも早く、ヨーロッパのケーキを作ることができる店となっていきました。

 

店舗に併設する喫茶室(残念ながら現在は閉鎖中)は、文化人サロンとしても賑わい、川端康成(明治32.6.14~昭和47.4.16 小説家)中島敦(明治42.5.5~昭和17.12.4 小説家)も常連だったのだそうです。

              (川端康成)https://www.ndl.go.jp/portrait/img/portrait/6086_1.jpg

中島敦の短歌には、喜久屋を詠んだ歌も。

 

「夕されば喜久屋のねおん點燈りけり山手は霧と烟れるらしも (「羌笛」)

「'Bonjour' 'Give me sugar' 'Ich danke' あなかしましや喜久家の二階 (「霧・ワルツ・ぎんがみ」)

 

港町のハイカラな洒落た雰囲気が伝わってきます。

 

喜久屋の名物といえば「ラムボール」。

      

創業者の石橋豊吉が完成させたもので、当初は四角い形のものだったそうですが、昭和10年代に今の丸い形になったのだそうです。

形は違えど、基本的な製法は今も変わらず、完成当初からの味を受け継いでいます。

何でもこの喜久屋のラムボールが、日本のラムボールのはじまりなんだそうです。

      

しっとりとラム酒の利いた大人の洋菓子。

お酒の弱い人は、酔ってしまうこともあるそうです。

横浜・元町土産の定番として、現在でも根強い人気のあるお菓子です。

      

花柄のパッケージもレトロで可愛く♡

箱を開ける前からもう、ラムの芳醇な香りが・・・。

 

 

喜久屋洋菓子補

神奈川県横浜市中区元町2-86

☎0456410545

https://www.kiku-ya.jp

営業時間 10:15~19:00

     10:15~18:15(月曜日)

定休日  不定

 

 

参考文献

中島敦全集2』 中島敦 2001.12.20 筑摩書房

 

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また肖像画像は、国立国会図書館電子展示会「近代日本人の肖像」https://www.ndl.go.jp/portrait/より転載しています。