太田道灌(永享4~文明18.7.26 室町時代の武将)が、江戸築城のさい城内鎮護の祈願所として開いた墨田区太平にある「法恩寺」。
その塔頭である「法泉院」には、芥川龍之介(明治25.3.1~昭和2.7.24 小説家)の田端の家にあったという「灯籠」があります。
芥川龍之介は築地入船町に生まれ本所両国で育ち、その後内藤新宿での仮住まいののち、大正3年から亡くなる昭和2年まで田端に暮らしました。
その終の棲家となった田端の家にあったというこの灯籠が、なぜここにあるのか。
芥川の菩提寺は日蓮宗の「慈眼寺」。田端の隣である駒込・巣鴨にあり、芥川のお墓もここにあります。
もとは本所猿江にあったものの、明治43年の水害を受け現在地に移転しています。
曹洞宗である「法泉寺」。なぜ菩提寺でもなく宗派も違うお寺に、芥川の灯籠があるのかというと、どうやら戦後芥川家が、空襲で全焼してしまった田端の家を引き揚げるさい、宅地を譲り受けた?友人が「法泉寺」に寄贈したらしいのです。(芥川の遺族は、芥川亡き後も田端の家に住み続け、戦時中は芥川の妻の実家のある鵠沼に疎開していました。)
そしてどうやらもうひとつ?あった灯籠は、日蓮上人の700年遠忌のさい、「法泉寺」の兄弟寺である千葉・館山の「法性寺」に寄贈されて、現在もそこにあるのだそうです。
不思議な縁で二つの寺院に置かれた芥川の灯籠。奇しくもひとつは生育の地のほど近い場所で、ひっそりと余生を過ごすこととなりました。
法泉院
東京都墨田区太平1-25-11
☎0336231985
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