妙子は銀座まで出かけるなら、話に聞いているニュウグランドかローマイヤアへ行きたいと云うので、ローマイヤアということにしたが、あたしも行ったことがないねん、数寄屋橋で降りてどう行くのん、と、姉がかえって幸子に尋ねる始末であった。(中巻)
谷崎潤一郎(明治19.7.24~昭和40.7.30 小説家)の小説「細雪」(「上」昭和18.1,3『中央公論』『中巻』昭 和22 .2 中央公論社「下」昭和22.3~12『婦人公論』)の姉妹たちが、上京の折にしばしば訪れたのは、銀座のドイツ料理レストラン「ローマイヤ」。
今ではすっかりデパ地下のハム・ソーセージ売り場でお馴染みの、あの「ローマイヤ」が営むレストランです。
大正10年に、日本でハム・ソーセージの製造を始めたドイツ人のアウグスト・ローマイヤ(1982~1962 ハム・ソーセージ製造業)が、その味を伝えるため、大正14年に銀座(現在の5-3辺り)でレストランを開業。
1階にはデリカテッセン、その奥に客席、3階にも客席、2階はバーというハイカラなレストランでした。長らくこの地で営業していましたが、平成3年にビルの改築のため惜しまれながら閉店。その後、平成8年に日本橋でビアレストラン「ローマイヤハウス」、平成18年に銀座8-8で「レストランローマイヤ」を開店しています。
現在は日本橋店も併せ、平成31年3月から銀座5-19-17に店舗を構え営業しています。
このドイツ料理レストランで、「細雪」の妙子たち姉妹は「独逸のビールのジョッキを一人で一つずつ空け」たのですが、この時初めてローマイヤを訪れた妙子は、このドイツビールの味が忘れられず、なんと翌日もローマイヤを訪れています。
「こいさんどこぞ、行ってみたいとこないのん」
「みんな東京々々云うけど、行ってみたいとこもあらへんなあ」
「やっぱりあたしら、大阪や京都の方がええなあ。―――昨夜のローマイヤアどないやった?」
「昨夜は料理が違うてたわ。ウィンナシュニッツレルがあったで」
「ウィンナシュニッツレル」とはウイーン風カツレツで、ローマイヤでは仔牛にパン粉を付けて揚げ焼きにしたものなのだそうです。ぜひ賞味してみたいなと思い伺ってみましたが、今回私が訪れたのはランチタイム。「ウィンナシュニッツレル」は、残念ながらランチメニューにはなかったので、肉つながりで⁉「ポークソテー」をオーダーしてみましたw。
厚みのあるお肉はジューシーで食べ応え満点!付け合わせのサラダやミニキッシュもボリュームがあり、ライスorパン、スープも付いて1200円とは。銀座のランチでこのお値段は、とてもお得なランチですね。
デザートに付けた「クリームチーズとココナッツの濃厚プリン」も美味しい♡
カスタードプリンではなくチーズプリンというのも珍しく、その名の通り濃厚ではあってもカラメルソースの苦みが利いていてしつこくない、銀座らしい大人好みのプリンです。
(谷崎潤一郎)
谷崎たちが通った最初の店舗ではないけれど、今も銀座の地で営業を続けている「ローマイヤ」。これからも長く続いて欲しいお店です。
次の機会にはぜひディナータイムに伺って、妙子も酔いしれたドイツビールもいただいてみたいなと思います♡
「ウィンナシュニッツレル」も食べてみたいなあ~。
ディナーだったらあるのかしら?今はもうないのかしら?
参考文献
細雪 | ||||
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東京都中央区銀座5-9-17銀座あづまビル2階
☎0362639360
営業時間 11:30~15:00 17:30~22:00
定休日 日曜日・祝日
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