文学のお散歩

東京近郊・近代文学を中心に作家・作品ゆかりの地をご紹介します。

資生堂パーラー

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銀座の目抜き通り本店を構える「資生堂」。

     

誰もが知る化粧品メーカーである「資生堂」の創業は明治5年。洋風民間調剤薬局として、福原有信(嘉永1.4.8(陰暦)~大正13.3.31 実業家)が創業しました。日本初の練歯磨き「福原衛生歯磨石鹸」や、脚気の特効薬「脚気丸」などを発売。明治30年からは化粧品部門にも進出し、化粧水「オイデルミン」を発売します。

     

明治35年には資生堂薬局内に、当時まだ珍しかったソーダ水やアイスクリームを製造販売する「ソーダファウンテン」を設け、これが後の「資生堂パーラー」へと発展していくことになりました。

                       (福原有信)https://www.ndl.go.jp/portrait/img/portrait/6209_1.jpg

イカラな「資生堂ソーダファウンテン」は、新橋の芸者衆をはじめ多くの文士・文化人にも好まれ、たちまち人気店に。資生堂を愛した文士は、永井荷風(明治12.12.3~昭和34.4.30 小説家)谷崎潤一郎(明治19.7.24~昭和40.7.30 小説家)太宰治(明治42.6.19~昭和23.6.13 小説家)池波正太郎(大正12.1.25~平成2.5.3 小説家)などなど枚挙にいとまがないほど。

 

中でも早くから資生堂を贔屓にしていたのは森鷗外(文久2.1.19(陰暦)~大正11.7.9 小説家・医師)で、鴎外の娘茉莉(明治36.1.7~昭和62.6.6 小説家・随筆家)は、

 

父は銀座の資生堂のアイスクリーム以外、そこらの横丁の店ではアイスクリームはたべささてくれなかった。散歩の道々私は父の掌に、自分の小さな掌をからませるようにして「アイスクリーム〱〱〱」と言いつづけた。(「父のこと2」)

 

https://www.ndl.go.jp/portrait/img/portrait/0342_2.jpg

(森鷗外)

と記しています。医者でもあった鷗外は潔癖なところがあり、溺愛していた娘茉莉には決して粗悪な物は食べさせなかったようですが、資生堂のアイスクリームはお眼鏡にかなっていたのでしょう。                

  (森茉莉)森茉莉 『贅沢貧乏』 | 新潮社

茉莉のお気に入りは「アイスクリームソーダ」の「レモン」。

     

ソーダファウンテン」伝統のソーダ水にアイスクリームを浮かべた、元祖クリームソーダです。

現在の「資生堂パーラー」でももちろん健在のメニューで、お味は茉莉の愛した「レモン」の他に「オレンジ」と季節限定フレーバーもあります。

     

さっぱりしたレモンのソーダに浮かんだアイスの接触面が、冷え冷えでシャリっとしたところがまた美味しい♡

銀ブラで渇いた喉を、文士ゆかりのアイスクリームソーダで潤すのも、暑い季節にはぴったりですね。

     

伝統の「アイスクリームソーダ」は、資生堂パーラー3階、ピンクの内装がかわいらしい「サロン・ド・カフェ」でいただくことができます。

 

参考文献

森茉莉森茉莉全集7』1993.11.20  筑摩書房

 

資生堂パーラー

東京都中央区銀座8-8-3

☎0355376231

https://parlour.shiseido.co.jp

営業時間 11:00~21:00(火~土曜日)

     11:00~20:00(日曜日・祝日)

定休日  月曜日・年末年始

 

 

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また肖像画像は、国立国会図書館電子展示会「近代日本人の肖像」https://www.ndl.go.jp/portrait/より転載しています。