日本橋「榛原」。

文化3年創業の老舗和紙店です。

職人の手作りによる和紙、木版刷の金封や便箋、千代紙など暮らしの和紙製品を製造販売しています。

上質な雁皮紙は墨ののりがよいと、古くから文人墨客に愛用されてきたのだそう。

河鍋暁斎(天保2.4.7(陰暦)~明治22.4.26 浮世絵師・日本画家)や川瀬巴水(明治16.5.18~昭和32.11.27 浮世絵師・版画家)、竹久夢二(明治17.9.1..6~昭和9.9.1 画家・詩人)など、当代きっての人気絵師たちによる、洒落たデザインの商品の数々も当時の乙女心をくすぐり、人気を博していたそうです。のち夢二が同じく日本橋で人気店となる「港屋絵草紙店」を開く際も、「榛原」の応援があったようです。
(竹久夢二)
近代文学の世界でも、例えば志賀直哉(明治16.2.10~昭和46.10.21 小説家)が「暗夜行路」(大正10.1~8、11.1~4、昭和12.4『改造』)で、主人公の時任三郎にフランスへ旅立つ友人へ向けて、お土産として「榛原の千代紙でも持って行っちゃどうだい」といわせたり、
他にも榛原の原稿用紙や便箋を好んで使う文士は多かったのだそう。
中でも森鷗外(文久2.1.19(陰暦)~大正11.7.9 小説家・医師)は一家揃って榛原好きで、特に「美術品のように美しい」とその美貌が評判だった妻志げ(明治13.5.3~昭和11.4.18 小説家)が、ことに榛原製品を気に入っており、自著『あだ花』(明治43.6 弘学館)の見返しに、榛原の千代紙「おしどり」を用いるほどでした。

(志げが『あだ花』に用いた「おしどり」↑)
また、自分で原稿用紙を刷ることもあった永井荷風(明治12.12.3~昭和34.4.30 小説家)も、榛原の愛用者で「青色十行罫紙」という紙を、原稿用紙としてよく使っていたのだそうです。

(永井荷風)

現在千代紙やレターセット、ポチ袋などは軽くて荷物にならず、それでいて日本らしさが伝わるということで、外国人観光客のお土産としてもとても人気になっているようです。

榛原日本橋本店
☎0332723801
営業時間 10:00~18:30(月~金曜日)
10:00~17:30(土・日曜日)
定休日 祝日・年末年始
参考文献
『志賀直哉集 新潮日本文学8』志賀直哉 1969.6.12 新潮社
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