何ともレトロでかわいいパッケージのお弁当!

このお弁当は「鯵の押寿し」で有名な、大船軒の「サンドウヰッチ弁当」。

なんとこのお弁当が、日本初のサンドウィッチの駅弁なのだそうです。

なんでも大船軒創業者の富岡周蔵(文久2~昭和14 実業家)が、明治政府の要人黒田清隆(天保11.10.16(陰暦)~明治33.8.23 軍人・政治家)から薦められ考案したものなのだそうで、発売は明治32年。大船軒創業の翌年になります。

具材はシンプルなチーズとボンレスハムの2種。
発売当初からずっとこの具材を守っているそうで、特にハムの方は、初めは既成のハムを使っていたのだそうですが、自家製にしたところハムの評判がたいへん高くなり、次第に食料品業者からハムだけの注文が殺到するように。その後ハム製造部門を独立させ、それが現在鎌倉で有名な「鎌倉ハム富岡商会」になったのだそうです。

パン食の駅弁というのはたいへん珍しく注目の的だったようで、鎌倉文士たちや、湘南地方を旅した文士たちにも好まれていたようです。島崎藤村(明治5.2.17~昭和18.8.22 詩人・小説家)の「熱海土産」(大正14)には、小田原港で熱海行きの汽船を待っている「私」一行が「大船でサンドイッチを一箱ずつ買ったのみであったから、すこし空腹を感じてきた。」と記されていたり、志賀直哉(明治16.2.10~昭和46.10.21 小説家)の「鵠沼行」(大正6.10『文章世界』)にも、「鵠沼に向かう途中大船でサンドイッチを子供等に一つずつ買った。」と記されていて、大船を通る当時の旅人がよく購入していた様子が窺えます。
現在でもこの「サンドウヰッチ弁当」は人気で、具材と共に発売当初から変わらぬレトロなパッケージには、コレクターもいるそうです。

大船軒は残念ながら令和5年にJR東日本クロスステーションに吸収合併され、惜しまれながら125年の歴史に幕を降ろしました。
けれど今現在も「大船軒」の屋号を冠し、名物の「鯵の押寿し」とともに「サンドウヰッチ弁当」もまだまだ販売され続けています。

このままいつまでも残っていて欲しいものです。
神奈川県鎌倉市大船1-1-1
☎0467442005
営業時間 6:30~21:30(南口)
7:30~20:00(西口)
定休日 年中無休
参考文献
『清兵衛と瓢箪・網走まで』志賀直哉 1968.9.15 新潮社
『島崎藤村全短編集 第五巻』島崎藤村 2003.4.28 郷土出版社
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