文学のお散歩

東京近郊・近代文学を中心に作家・作品ゆかりの地をご紹介します。

教文館

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僕等はいつか教文館の飾り窓の前へ通りかかつた。半ば硝子に雪のつもつた、電燈の明るい飾り窓の中にはタンクや毒瓦斯の写真版を始め、戦争ものが何冊も並んでゐた。僕等は腕を組んだまま、ちょつとこの飾り窓の前に立ち止まつた。

 

芥川龍之介(明治25.3.1~昭和2.7.24 小説家)の「彼 第二」(昭和2.1.1『新潮』)にも登場する銀座の老舗書店「教文館」。

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明治24年キリスト教伝道のための書籍·印刷物を出版·販売する目的で、この地に開業されましました。

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現在もキリスト教関連の書物を中心に、一般書、雑誌、文具、雑貨、子どもの本のみせ「ナルニア国」、カフェ「きょうぶんかん」と、充実のラインナップを揃える大型書店です。

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明治の開店時から、西洋の文物に触れることができるということで、文士たちにも人気の書店でした。

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初代社長の長井半平(慶応1.7.28~昭和11.6.20 技術者・政治家・教育者・実業家)は、なんとイギリス留学時代の夏目漱石(慶応3.1.5~昭和5.12.9 小説家)と下宿を共にした人物。当時お金のなかった漱石に用立ててやることもあったようです。漱石の『永日小品』の中の「過去の匂い」(明治42,1,22『大阪朝日新聞』)のK君は長尾氏がモデルともいわれています。

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かつて「教文館」の1階・地下1階には、日本ではじめてアイスクリームの大量生産・販売を行った「富士アイス」も入っていました。レストランも兼ねており、銀座通の永井荷風(明治12.12.3~昭和34.4.30 小説家)の『断腸亭日乗(大正6.9.16~昭和34.4.29)にもしばしば登場しています。

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現在の「教文館」に「富士アイス」はありませんが、4階の「カフェきょうぶんかん」が、今の本探しの人々の憩いの場。

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クリスマスシーズンには、この時期限定のケーキや、シュトーレン、グリューワインなどをいただくことができます。

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本格的なドイツのシュトーレン

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グリューワインは、ブルーベリーのワインをベースに作られたものだそう。

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この時期はロビーもエレベーターもクリスマス仕様に。

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教文館

東京都中央区銀座4-5-1

☎0335618446

https://www.kyobunkwan.co.jp

営業時間 10:00~19:00

 

 

参考文献

芥川龍之介全集 第十四巻』芥川龍之介 1996.12.9 岩波書店

漱石全集 第十二巻』夏目金之助 1994.12.20 岩波書店

荷風全集 第二十一巻』永井壯吉 1963.10.12 岩波書店

 

 

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